Feb 13, 2011

その男、シューズデザイナーにつき PART Ⅱ


柏崎 亮

2011A/Wで3シーズン目を迎えるシューズブランド「Hender Scheme(エンダースキーマ)」のデザイナーです。

亮くんとの出会いは、彼が独立前に、先日紹介したシューズブランドNOの齊藤君の展示会を手伝っていた時でした。

初対面にして彼の服のサイズ感や着こなしを見て、センスがいいなぁと感じていましたが、造る靴は予想に違わずというか、はるかにその第一印象を上回るものでした。

独立の年齢がほぼ自分と同じなのですが、その感性と完成度は当時の自分が恥ずかしくなるくらいハイレベルです。


「エンダースキーマ ブランドコンセプト」
身体的、生物学的性差を示すセックスに対して、ジェンダーとは、社会的、文化的な性差を意味する。Hender Scheme(エンダースキーマ)ではセックスによる性差を尊重しながらも、身なりにおいてジェンダーを介することなく、人間の経験や環境によって構造化されたジェンダースキーマを超越した概念を提唱する。


-manual industry-
「工業製品」と「手工業製品」という両極端にある「方法」へのリスペクトをエンダースキーマの解釈とバランスで表現、というテーマで発表した2011S/Sの作品から。


度肝を抜かれました!!


1982年にNIKEから発表された名作スニーカーAir Force 1を、オールレザーで、しかもナチュラルカラーのヌメ革で仕上げるセンスに、思わず「やられたぁ」と感じずにはいられませんでした。

ここでは敢えて元ネタを公表させていただきます。
何故ならそれを知ってもらうことで、よりこの靴の面白さが伝わるからです。

亮君は、量産で作られている工業製品としてのスニーカーを、あえて手工業という異なる生産背景で作ることによって、作り手の方法や環境の違いが、同じデザインであるにも関わらずどのような見え方の違いに繋がるのかを表現する為に、多くの人が知るAIR Force 1を選んだそうです。

レディースファッションに比べ、メンズファッションのデザインはミリタリーやワークウエア等々、昔から存在するスタンダードを、いかに今のトレンドを取り入れて再構築するかという勝負のように感じます。
デザイナーはそれぞれ新しいことに挑戦するわけですが、一方でどのアイテムをいじるかという着眼点も重要になります。


何を題材にするか。

人は簡単に何処其処のブランドに似てる、~っぽいと評価をしますが、何を題材にするかという着眼力も、とても重要な才能です。

通常デザイナーは、創作の元となったモノを知られることを嫌います。
上記の通り既にこの靴の元ネタを明かしていますが、ソールまでもレザーで仕上げたこの靴は、もはやスニーカーではなく完全にエンダースキーマの革靴なのです。


ブランドコンセプトにもあるように、エンダースキーマでは、全てメンズ、レディース両方のサイズで展開しています。
そのデザインは、メンズでは新しく、レディースではもっと新しく感じると思います。
男女問わず、靴を主役にも脇役にもしたコーディネートを楽しむことができます。


そしてこれは僕の勝手な印象ですが、亮君が手掛けるエンダースキーマの靴には独特の”ヤレ感”があります。

基本に忠実に造るとコンサバと受け取られがちな作品も、彼の手を経ると特別な雰囲気に仕上がります。

とにかくただ綺麗なモノを造りたければ、ひたすら数をこなす事で表現できるようになりますが、この”ヤレ感”というヤツは持って生まれたセンスが如実に表れるように思います。

僕はキッチリとしたマジメなツラのモノを製作するのは得意なのですが、その雰囲気(ヤレ感)を出そうとすると、とてもわざとらしい仕上がりになってしまいます。

そんな彼の才能に嫉妬も感じてしまうのです。

今後、着実にその階段を上がっていくであろう亮君のクリエーションから目が離せません。






まさに男女の区別なく楽しめる靴です。

オフィシャルサイトでその世界観をお楽しみ下さい。








2011A/Wはこちらから












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